郵便切手と収入印紙の仕訳を解説(期中仕訳と決算整理仕訳)

決算関連

郵便切手と収入印紙の処理はどちらも日商簿記3級の試験範囲となっています。

この2つは見た目こそ似ていますが、役割は全く違いますし、簿記において使われる勘定科目も当然違います。

この記事では郵便切手と収入印紙それぞれについて、期中仕訳と決算整理仕訳を分かりやすく説明していきます。

期中仕訳

まずは期中仕訳を見ていきます。

期中仕訳としては、購入時に処理を行うことになります。

郵便切手の期中仕訳(通信費)

まずは郵便切手から説明します。

郵便切手は、購入時に通信費(費用)で処理をします。

「通信費」という勘定科目は、簡単に言うと連絡を取るときや情報を伝えるときにかかった費用です。

「通信費」の代表例は電話代ですね。

で、郵便切手というのは書類や手紙を相手に送るために使うわけですから、これは相手に連絡をするため、情報を伝えるためにかかる費用なので、勘定科目は「通信費」になるということです。

では、次の具体例を見てください。

【問題1
郵便切手400円を購入し、代金は現金で支払った。

解答は次のようになります。

重要なのは、購入額を全て通信費(費用)にするということです。

たまにある疑問としては、

「郵便切手を買ったんだから、資産が増えたのではないのか?」

というものなのですが、期中は資産とは考えません。

期中は、買った瞬間に全てを使ったものとして仕訳をします。

なぜなら、どうせ近い将来使うものだからです。

よって、400円全てを「通信費」に計上します。

そして、買った瞬間に全てを使ったものとみなして仕訳をしていますので、郵便切手を使ったときには特に処理はありません。

【問題2】
郵便切手100円を消費した。

こんな問題は試験に出ないと思いますが、万が一出たら、そのときの答えは、

となりますからね。

収入印紙の期中仕訳(租税公課)

次に、収入印紙について説明します。

収入印紙も、仕訳の考え方は郵便切手と全く同じです。

ただし、当然ですが勘定科目は違います。

収入印紙は、購入時に租税公課(費用)で処理をします。

「租税公課」は税金を表す費用の勘定科目です。
※ただし、法人税等と消費税には「租税公課」は使いません。

収入印紙を使うという行為は、印紙税という税金を払っていることを意味するので、勘定科目は「租税公課」になるということです。

では、次の具体例を見てください。

【問題3
収入印紙700円を購入し、代金は現金で支払った。

解答は次のようになります。

重要なのは、購入額を全て租税公課(費用)にするということです。

郵便切手のときと同様、

「収入印紙を買ったということは、資産が増えたのでは?」

という質問がたまにありますが、期中は資産とは考えません。

期中は、買ったと同時に全額を使ったとみなして仕訳をします。

なぜなら郵便切手と同じく、どうせ近い将来使うものだからです。

だから、700円全額を「租税公課」に計上します。

そして、購入時はその瞬間に全てを使ったものとして仕訳をしていますので、収入印紙を使ったときには特に処理はありません。

【問題4】
収入印紙300円を消費した。

こんな問題は試験に出ないと思いますが、万が一出たら、そのときの答えは、

となりますからね。

決算整理仕訳(未使用のものがある場合)

では次に決算整理仕訳について説明します。

郵便切手も収入印紙も、決算整理仕訳のやり方は全く同じです。

未使用分があれば、その額を貯蔵品(資産)に振り替えます。

未使用の郵便切手がある場合の決算整理仕訳

まずは、決算において郵便切手が残っていた場合の問題をやっていきましょう。

【問題5】
決算において未使用の郵便切手200円があった。

解答は次のようになります。

期中に郵便切手を購入したときの仕訳を思い出してください。

購入したときは、すぐに全て使ったものとして仕訳をしていましたよね?

購入額を全て通信費(費用)で計上しました。

なので、今回の問題のように決算において未使用分があった場合は、その分の通信費(費用)を取り消す必要があるので、「通信費」を貸方に計上するということです。

「あれ切手が200円残ってる。じゃあこの200円は通信費から除かなきゃダメだ!」

という感じです。

郵便切手というのは、本来は使用して初めて通信費(費用)になるというのが正しい考え方です。

ただ、期中は便宜上、買った瞬間に全て使用したとみなしていたのです。

ですが、繰り返しになりますが、簿記の本来の考え方としては、使用の事実があって初めて費用が発生します。

よって、決算整理ではその正しい考え方に基づいて会計処理をするために、未使用の200円分は通信費から除外するということです。

そして、借方は貯蔵品(資産)を計上します。

これは、郵便切手を資産として認識するための処理です。

繰り返しになりますが、期中において郵便切手は購入した瞬間に全てを使ったものとして全額費用で仕訳していますので、期中仕訳のままでは資産として認識していないことになってしまいます

だから、今回のように決算時に未使用分が残っているときは、その額を資産に計上しなければならないのです。

で、その資産の勘定科目が「貯蔵品」になります。

未使用の収入印紙がある場合の決算整理仕訳

次に、決算において収入印紙が残っていた場合の問題をやっていきますが、郵便切手のときと同じような仕訳をすると思っていただいて大丈夫です。

【問題6】
決算において未使用の収入印紙100円があった。

解答は次のようになります。

※以下、郵便切手のときと同じような解説となります。

期中に収入印紙を購入したときの仕訳を思い出してください。

購入したときは、すぐに全て使ったものとして仕訳をしていましたよね?

購入した全額を租税公課(費用)で計上しました。

なので、今回の問題のように決算において未使用分があった場合は、その分の租税公課(費用)を取り消す必要があるので、「租税公課」を貸方に計上するということです。

「あれ?収入印紙が100円残ってる。じゃあこの100円は租税公課から除かなきゃダメだ!」

という感じです。

収入印紙というのは、使用して初めて租税公課(費用)になるというのが正しい考え方です。

ただ、期中は便宜上、買った瞬間に全て使用したとみなしていたのです。

しかし先ほども言ったように、簿記の本来の考え方としては、使用の事実があって初めて費用が発生します。

よって、決算整理ではその正しい考え方に基づいて会計処理をするために、未使用の100円分は租税公課から除外するということです。

そして、借方は貯蔵品(資産)を計上します。

これは、収入印紙を資産として認識するための処理です。

しつこいようですが、収入印紙は購入した瞬間に全てを使ったものとして全額費用で仕訳していますので、期中仕訳のままでは資産として認識していないことになってしまいます

だから、今回のように決算時に未使用分が残っているときは、その額を資産に計上しなければならないのです。

で、その資産の勘定科目は郵便切手と同じく「貯蔵品」になります。

期中に費用として処理をするときは、

  • 郵便切手 ⇒ 通信費
  • 収入印紙 ⇒ 租税公課

というように郵便切手と収入印紙では別の勘定科目を使用します。

一方で、決算整理仕訳で未使用分を資産として処理するときは、

  • 郵便切手 ⇒ 貯蔵品
  • 収入印紙 ⇒ 貯蔵品

というように両者とも「貯蔵品」になります。

練習問題(精算表記入も)

では、最後に練習問題をやっていきます。

【問題7】(仕訳問題)
郵便切手500円と収入印紙900円を購入し、代金は現金で支払った。

以下解答です。


【問題8】(仕訳と精算表)
決算において郵便切手の未使用分120円および収入印紙の未使用分200円があった。決算整理仕訳を行うとともに、次の精算表への記入を行いなさい。

以下解答です。


いかがだったでしょうか?

最後の練習問題の【問題7】と【問題8】が解ければ本試験も怖くありません。

本試験もこのくらいの難易度なので、まだ不安な場合はこの記事をもう一度読んでみてください。

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