「仮払金」は資産の勘定科目で、簿記3級での使われ方としては、
- とりあえず払ったお金
- 先に払ったお金
というような意味です。
日商簿記3級で「仮払金」が使われるケースは主に次の二つです。
- 出張旅費に関する仕訳
- ICカードに関する仕訳
この記事では、
- 出張旅費に関する仕訳
について説明します。
なお、
2.ICカードに関する仕訳
については、こちらの記事で解説していますので興味のある方はご覧ください。
では、
- 出張旅費に関する仕訳
について説明します。
仮払金の発生の仕訳
まずは「仮払金」が発生する仕訳です。
これから出張に行く従業員に、出張に必要なお金を渡す場合があります。
これを、出張旅費の概算払いなんて言ったりしますが、概算払いなので、大体の金額です。
その出張で実際にいくらかかるのかは、出張が終わらないと正確には分からないわけですから、大体かかるであろう金額を渡すということです。
この場合、従業員に渡したお金を「仮払金」で仕訳します。
では、具体例を見ていきましょう。
【問題1】
従業員の出張にあたり、概算額900円を現金で渡した。
解答は次の通りです。

まず貸方ですが、現金を渡しているので貸方を「現金」とするのは問題無いでしょう。
今回の論点は借方です。借方は「仮払金」とします。
出張でいくらかかるのかはまだ分からないけど、とりあえず900円渡したという意味合いになります。
で、最初にも言った通り、「仮払金」は資産です。
なぜ資産なのかというと、もしかしたら返ってくるかもしれないお金だから資産と考えると分かりやすいでしょう。
どういうことかと言うと、この問題では、お金を受け取った従業員が出張に出発したわけですが、
もしかしたら、直後に急遽出張が中止になり、すぐに帰ってくる可能性もゼロではないわけです。
仮にそうなったら、渡した900円は当然全額返ってきます。
だから、今の時点では、渡したお金はとりあえず「仮払金」という資産に計上しておく。
少々極端な解釈ではありますが、このように考えると、『仮払金が資産であること』がしっくりくると思います。
仮払金の消滅の仕訳(出張旅費の清算)
では次に、出張旅費の清算の仕訳、つまり、従業員が出張から帰ってきた時の仕訳です。
具体例を見た方が分かりやすいので、次の問題を見てください。
先ほどやった【問題1】の続きです。
【問題2】
問題1の従業員が出張から帰社し、お釣り50円を現金で受け取った。
解答は次の通りです。

まず、従業員が出張から帰ってきたときは、出発の時に発生した「仮払金」を全て貸方に計上して消滅させます。
そして、出張で使った金額を「旅費交通費」に計上します。
出発の時に900円渡していて、今回お釣りで50円受け取ったので、出張で使ったのは850円ということです。
※900円-850円=50円
これで、出張旅費の一連の仕訳は終了です。
概算払いした金額では足りなかった場合の仕訳
では、こんなケースはどうでしょう?
今度は、概算払いした金額では足りず、従業員が出張から帰社したときに、逆に従業員に対してお金を払わなければいけないケースです。
【問題3】
従業員の出張にあたり、概算額900円を現金で渡した。
解答は次の通りです。

これは【問題1】と全く同じなので大丈夫でしょう。
問題なのは次です。
【問題4】
問題3の従業員が出張から帰社し、不足額30円を現金で支払った。
解答を下に表示するので、自分で考えたい場合は一旦ここで止めて下さい。

できたでしょうか?
これは、出張旅費が930円もかかってしまったということです。
出発の時に900円渡していて、今回さらに30円支払ったので、出張によって発生した費用は930円ということになります。
※900円+30円=930円
要するに、出発の時に渡した900円では足りなかったので、従業員が一旦立て替えたのです。
あまり良くないケースかもしれませんね。
なぜ良くないのかというと、30円については、従業員が一旦自腹を切っているからです。
で、今回出張から帰ってきたので、その30円を従業員に現金で返したということです。
一時的ではあるにせよ、従業員個人のお金を使わせてしまったわけなので、個人的にはあまり良いことではないと思います。
まぁ、実務では普通にあることですけどね。
ということで、今回は出張旅費の仮払金について説明しました。
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