前回の記事に続き、今回も訂正仕訳について説明します。
前回の記事では、
- 金額を間違える
- 勘定科目を間違える
について解説しましたが、今回は、
- 貸借逆に仕訳をしてしまう
について解説します。
貸借逆に仕訳をしてしまった場合
訂正仕訳の問題において割とよく見かけるタイプの問題です。
では具体例を見ていきます。
【問題1】
売掛金70円を普通預金で回収した際に、誤って貸借逆に仕訳をしていたため、これを訂正する。
まずは答えを下に表示しますね。
【解答】
では解説をします。
結論を先に言ってしまうと、この問題のように、貸借逆に仕訳をしてしまった場合の訂正は、2倍の額で正しい仕訳をするというのが正解になります。
取引の内容は、『売掛金70円を普通預金で回収した』なので、本来やるべきだった正しい仕訳は、
(普通預金)70 (売掛金)70
です。
この仕訳を2倍の金額で行うのが解答ということです。
よって、改めて答えを書きますが、
が解答となります。
※70円×2=140円
なお、もし今の考え方が難しく感じる場合は、次の4つのステップで考えるという方法もあります。
- 誤りの仕訳を書く
- 誤りの仕訳の逆仕訳を書く
- 本来やるべきだった正しい仕訳を書く
- 上記2と3を合算・相殺した仕訳が解答
4つのステップを踏むこのやり方は、訂正仕訳の必勝方法です。
今回のような、【貸借逆に仕訳をしてしまった】という問題に限らず、どんなパターンの訂正仕訳に対しても使うことができます。
では、この4つのステップに当てはめて解きていきます。
1.誤りの仕訳を書く
誤って貸借逆に仕訳をしてしまったわけなので、誤りの仕訳はこうなります。
2.誤りの仕訳の逆仕訳を書く
3.本来やるべきだった正しい仕訳を書く
※結果的に2と3は同じ仕訳になります
4.上記2と3を合算・相殺したのが解答
ということで、結局、解答の仕訳は【2倍の金額で正しい仕訳をする】になりました。
では、なぜ【2倍の金額で正しい仕訳をする】が解答になるのか?
これを感覚的に分かりやすくするために、この訂正仕訳のイメージを僕なりに言語化してみます。
イメージとしては、仕訳を貸借逆にしてしまったということは、本来進むべき方向とは逆に進んでしまったという感じで僕は捉えています。
貸借逆に書いてしまったということは、つまり、
・借方(左側)に書くべきだったものを貸方(右側)に書いてしまった
・貸方(右側)に書くべきだったものを借方(左側)に書いてしまった
ということで、それぞれ逆に計上してしまったことを意味します。
例えるなら、
右に一歩進まなければならないところを左に一歩進んでしまった
ということです。
ってことは、あるべき状態になるためには、
右に二歩(二倍)進めばいいということになりますよね。
このような解釈・考え方をすると理解しやすいかと思います。
よって、改めて結論を言いますが、貸借逆に仕訳をしてしまった場合の訂正仕訳は、正しい仕訳を2倍の金額で行えばいいということになります。
では、確認のために練習問題をもう一問やってみます。
【問題2】
商品90円を仕入れ、代金は掛けとしたが、誤って貸借逆に仕訳をしていたため、これを訂正する
まずは答えを下に表示しますね。
【解答】
答えの出し方としては、まずは、本来やりたかった正しい仕訳を考えましょう。
『商品90円を仕入れ、代金は掛けとした』という取引ですから、本来ならどんな仕訳をしなきゃいけなかったのか?
これは難しくありません。
本来なら、
(仕入)90 (買掛金)90
という仕訳をしなければならなかったはずです。
しかし貸借逆にしてしまった。
したがって、先ほど説明した通り、【2倍の金額で正しい仕訳をする】が正解となります。
よって答えは、
となるわけです。
※90円×2=180円
なお、もし今説明した考え方が難しいという場合は、【問題1】の解説でも説明したように、4つのステップを踏む方法でやってもいいと思います。
- 誤りの仕訳を書く
- 誤りの仕訳の逆仕訳を書く
- 本来やるべきだった正しい仕訳を書く
- 上記2と3を合算・相殺した仕訳が解答
では、この4つのステップに当てはめてやってみます。
1.誤りの仕訳を書く
誤って貸借逆に仕訳をしてしまったわけなので、誤りの仕訳はこうなります。
2.誤りの仕訳の逆仕訳を書く
3.本来やるべきだった正しい仕訳を書く
※結果的に2と3は同じ仕訳になります
4.上記2と3を合算・相殺したのが解答
ということで、このやり方でやっても当然結果は同じになります。
4つのステップを踏むやり方は、機械的に行うことができるというメリットもありますが、やはり時間がかかるというデメリットもありますので、どうしても訂正仕訳が苦手な場合の最終手段として利用してください。
では、今回の記事は以上です。
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