前払金、前受金の仕訳について分かりやすく解説(簿記3級)

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今回は「前払金」と「前受金」について解説します。

仕訳の書き方だけでなく、勘定科目への理解を助ける【解釈の仕方】についてもわかりやすく説明しますので、必ず最後まで読んでください。

前払金は資産、前受金は負債

まず、

  • 「前払金」は資産
  • 「前受金」は負債

です。

これ、反対に思ってしまう方がたまにいますので注意してください。

「前払金」は、商品を仕入れる前に払ったお金です。

前もって払ったお金だから「前払金」です。

「前受金」は、商品を売り上げる前に受け取ったお金です。

前もって受け取ったお金だから「前受金」です。

で、一般的な簿記のテキストなんかには、

  • 「前払金」は、あとで商品を受け取れる権利だから資産
  • 「前受金」は、あとで商品を引き渡さなければならない義務だから負債

というようなことが書いてあります。

もちろんその解釈は正しいのですが、
僕が個人的にもっとしっくりくる考え方としては、

  • 「前払金」は、もしかしたら返ってくるかもしれないお金だから資産
  • 「前受金」は、もしかしたら返さなきゃいけないかもしれないお金だから負債

という解釈です。

こっちの方がわかりやすいのではないかと思っています。

まぁ、解釈や捉え方についてはあなたがしっくりくる理解の仕方でいいと思います。

とにかく、

  • 「前払金」は資産
  • 「前受金」は負債

をキッチリ押さえられればOKです。

それでは、具体例な仕訳問題を見ていきます。

前払金の仕訳

では、まずは「前払金」の具体的な仕訳を見ていきます。

前払金が発生する仕訳

【問題1】
仕入先A社に対し、手付金として30円を現金で支払った。

まずは解答を表示します。

問題文の中に手付金という言葉が出てきましたが、これは簿記の問題にはしょっちゅう登場する用語なので覚えておいてください。

手付金というのは、

・商品を仕入れる前に払ったお金

または、

・商品を売り上げる前に受け取ったお金

です。

つまり手付金は、「前払金」または「前受金」を意味し、そのどちらなのかは、自分が払った側なのか受け取った側なのかによって決まります。

今回は払った側なので、手付金は「前払金」を意味します。

よって、借方は「前払金30」となります。

そして、この「前払金」は、もしかしたら返ってくるかもしれないお金だから資産と考えることができます。

なぜ返ってくるかもしれないのかというと、購入をキャンセルしたら当然返金されるからです。

「やっぱ買うのやめまーす。だから30円返してくださーい」

と言えば返ってくるお金です。

この時点ではお金を払っただけで、まだ購入(仕入)はしていませんからね。

まぁ、相手との契約によって、キャンセルができないなどの可能性はありますが、とりあえずそういったことは置いといてください。

あくまでも仕訳の解釈としては、もしかしたら返ってくるかもしれないお金だから資産と考えると理解しやすいということです。

前払金が消滅する仕訳(仕入時)

次に、「前払金」が消滅する仕訳です。

【問題2】
仕入先A社から商品90円を仕入れ、代金のうち30円は手付金と相殺し、残額は普通預金
から支払った。

まずは解答を表示します。

まずは借方ですが、仕入れた商品の金額は90円なので、借方に「仕入」を90円計上します。

次に貸方ですが、「前払金」を30円計上し消滅させます。

先ほど説明したように、「前払金」は、もしかしたら返ってくるかもしれないお金として計上されていた資産です。

今回の取引で商品を仕入れましたので、この30円はもう返ってくることはなくなりました

よって「前払金」を貸方に30円仕訳して消滅させるわけです。

最後に、「仕入」と「前払金」の差額60円を普通預金として貸方に仕訳すれば終了です。

前払金のちょっとした応用問題の仕訳

では最後に応用問題をやってみましょう。

【問題3】
商品120円を仕入れ、代金のうち40円は手付金と相殺し、50円は普通預金から支払い、残額は掛けとした。

解答を表示します。

応用問題とは言いましたが、実際にはそこまで難しくありません。

借方に仕入を120円計上するとともに、あとは貸方を落ち着いて一つずつ仕訳すればいいだけです。

ただこの手の問題は、本試験等で緊張していたりとか、時間が無い状況で焦っていたりすると、普段では考えられないような凡ミスをしてしまうことがありますので、あくまでも落ち着いて一つずつ作業をしていく姿勢を忘れないでください。

前受金の仕訳

次に、「前受金」の具体的な仕訳を見ていきます。

前受金が発生する仕訳

【問題4】
得意先B社から、手付金として50円を現金で受け取った。

まずは解答を表示します。

先ほども解説したように、手付金は、「前払金」または「前受金」を意味し、そのどちらなのかは、自分が払った側なのか受け取った側なのかによって決まります。

今回は受け取った側なので、手付金は「前受金」を意味します。

よって、貸方は「前受金50」となります。

そして、この「前受金」は、もしかしたら返さなきゃいけないお金だから負債と考えることができます。

なぜ返さなきゃいけないのかというと、購入をキャンセルされたら当然返金する必要があるからです。

「やっぱ買うのやめまーす。だから50円返してくださーい」

と言われたら返さなきゃいけないお金です。

この時点ではお金を受け取っただけで、まだ販売(売上)はしていませんからね。

まぁ、相手との契約によって、キャンセルができないなどの可能性はありますが、とりあえずそういったことは置いといてください。

あくまでも仕訳の解釈としては、もしかしたら返さなきゃいけないお金だから負債と考えると理解しやすいということです。

前受金が消滅する仕訳(売上時)

次に、「前受金」が消滅する仕訳です。

【問題5】
得意先B社へ商品140円を売り上げ、代金のうち50円は手付金と相殺し、残額は普通預金で受け取った

まずは解答を表示します。

まずは貸方ですが、売り上げた商品の金額は140円なので、貸方に「売上」を140円計上します。

次に借方ですが、「前受金」を50円計上し消滅させます。

先ほど説明したように、「前受金」は、もしかしたら返さなきゃいけないお金として計上されていた負債です。

今回の取引で商品を売り上げましたので、この50円はもう返す可能性はなくなりました

よって「前受金」を借方に50円仕訳して消滅させるわけです。

最後に、「売上」と「前受金」の差額90円を普通預金として借方に仕訳すれば終了です。

前受金のちょっとした応用問題の仕訳

では最後に応用問題をやってみましょう。

【問題6】
商品180円を売り上げ、代金のうち70円は手付金と相殺し、60円は普通預金で受け取り、残額は掛けとした。

解答を表示します。

応用問題とは言いましたが、実際にはそこまで難しくありません。

貸方に売上を180円計上するとともに、あとは借方を落ち着いて一つずつ仕訳すればいいだけです。


ということで今回は「前払金」「前受金」について解説しました。

難易度は高くないので、本番で解けないのはもったいないです。

本試験ではこういった、知っていれば解ける、知らなければ解けないという箇所をいかにキッチリ取れるかが非常に重要ですので、確実に解けるようになってほしいと思います。

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