この記事では、電子記録債権(資産)と電子記録債務(負債)について、初心者の方にもわかりやすく説明します。
電子記録債権(資産)と電子記録債務(負債)は、パッと見の言葉は難しそうですが、簿記の仕訳に関しては非常に簡単です。
言葉の難しさに騙されないようにしましょう。
電子記録債権・電子記録債務は、受取手型・支払手形とほぼ同じ
結論から言うと、「電子記録債権」「電子記録債務」は、「受取手型」「支払手形」とほとんど同じようなものだと思ってください。
「電子記録債権」は「受取手型」とほぼ同じで、あとで商品代金を受け取れる権利としての資産、
「電子記録債務」は「支払手形」とほぼ同じで、あとで商品代金を支払わなければならない義務としての負債です。
いずれも、商品売買における証拠のある債権・債務を表す勘定科目です。
「受取手型」「支払手形」は紙の証拠なのに対し、
「電子記録債権」「電子記録債務」はコンピューターに記録されているデータの証拠です。
わかりやすく言うなら、
「受取手型」「支払手形」はアナログの証拠で、
「電子記録債権」「電子記録債務」はデジタルの証拠です。
ちなみに、証拠の無いただの口約束の債権・債務が「売掛金」「買掛金」です。
で、「電子記録債権」「電子記録債務」を発生させるためには、基本的には既に「売掛金」「買掛金」を持っていることが前提です。
よって、仕訳としては、
- 持っている「売掛金」が「電子記録債権」にチェンジされる
- 持っている「買掛金」が「電子記録債務」にチェンジされる
という形で発生していくことになります。
そして、決済(お金の受け取りや支払い)が無事行われると、「電子記録債権」「電子記録債務」は消滅し、これで一連の取引が完結することになります。
ちなみに、「電子記録債権」「電子記録債務」を管理してくれる機関を、電子債権記録機関といいます。
会社と会社の間に入って、「電子記録債権」「電子記録債務」を証拠として記録してくれる機関です。
電子債権記録機関
でんしさいけんきろくきかん
名前が長すぎてウザいですが、そんなにキッチリ暗記しなくてもいいですからね。
で、会社と会社の間に電子債権記録機関が入って手続きをしてくれるわけですが、厳密な仕組みとしては、さらにその間に銀行が入ります。
まぁ、言葉で説明しても分かりづらいので、次の図を見てください。
このような関係性でやり取りが行われます。
でもまぁ、細かい仕組みは知らなくても全く問題ありません。
一般的なテキストなどでは、実務上の細かい手続きなどが説明されていることが多いですが、そんなことは覚えなくても検定合格にはほとんど支障は無いです。
(実務では知ってた方がいいですが)
検定合格に必要なのは、あくまでも会計的な意味合いを理解することですからね。
あとは、仕訳や勘定科目などをしっかり押さえておくことが重要です。
電子記録債権の仕訳
では、具体的な問題を見ていきましょう。
まずは電子記録債権の仕訳です。
既に売掛金を持っている前提での取引です。
【問題1】
得意先A社に対する売掛金150円について、取引銀行を通じて電子記録債権の発生記録を行った。
解答の仕訳を表示します。
仕訳は非常に単純で、「売掛金」を「電子記録債権」に振り替える(チェンジする)だけです。
では続きの取引として、決済の仕訳を見ていきます。
【問題2】
問題1の電子記録債権の支払期限が到来し、当座預金に入金された。
解答の仕訳を表示します。
代金が入金されたので、電子記録債権は消滅します。
電子記録債務の仕訳
次に、電子記録債務の仕訳を見ていきます。
既に買掛金を持っている前提での取引です。
【問題3】
仕入先B社に対する買掛金110円について、取引銀行を通じて電子記録債務の発生記録を行った。
解答の仕訳を表示します。
仕訳は非常に単純で、「買掛金」を「電子記録債務」に振り替える(チェンジする)だけです。
では続きの取引として、決済の仕訳を見ていきます。
【問題4】
問題3の電子記録債務の支払期限が到来し、当座預金から引き落とされた。
解答の仕訳を表示します。
代金を支払ったので、電子記録債務は消滅します。
電子記録債権、電子記録債務は簡単
ということで、具体的な問題を4問見てきましたが、4問とも非常に単純な仕訳です。
最初にも言った通り、
- 「電子記録債権」は「受取手型」とほぼ同じ
- 「電子記録債務」は「支払手型」とほぼ同じ
です。
「電子記録債権」と「電子記録債務」は言葉が難しいので、内容まで難しいかのような錯覚が起きやすいですが、実際の仕訳は非常に単純で、本試験の仕訳問題などで出題されたら、かなりラッキーな問題と言えます。
仕訳問題が出たら確実に解けるようになってください。
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