従業員立替金の仕訳をわかりやすく解説します

期中処理

今回は「従業員立替金」の仕訳について説明します。

「従業員立替金」は資産の勘定科目ですが、これは、従業員が払うべきお金を会社が立て替えた場合に発生します。

つまり、従業員の個人的なお金、従業員のプライベートのお金を会社が一旦立て替えて払ったときに使用する勘定科目です。

従業員立替金に関する注意点

注意してほしいのは、従業員が仕事で電車やバスを使ったなどの場合ではないということです。

従業員が仕事で使ったお金というのは会社が負担するものですので、そういった場合は「従業員立替金」は出てきません。

「従業員立替金」が発生するのは、従業員の個人的なお金を会社が立て替えた場合ですからね。

ちなみに、従業員の個人的なお金としては、【従業員の生命保険料】が、簿記の問題ではよく出てくる印象がありますが、
まぁとにかく、「従業員立替金」が発生するのは、会社の業務とは無関係な、完全な従業員個人のお金を会社が立て替えた場合なので、会社としてはあとで従業員から返してもらうことができます

イメージとしては、会社が従業員にお金を貸している状態みたいな感じですね。

だから、「従業員立替金」は資産なのです。

なお、「従業員立替金」は「立替金」という勘定科目の場合もありますので、そこは問題で指定された勘定科目を使用してください。

具体的な仕訳

では、具体的な仕訳を見ていきます。

従業員立替金が発生したときの仕訳

【例題1】
従業員の生命保険料100円を現金で立て替え払いした。

まずは解答を表示します。

現金が減るとともに、「従業員立替金」という資産が借方に計上されています。

つまり、会社としては、あとで従業員からお金を返してもらえる権利が増えたということになります。

処理としては単純ですね。

よって、このあとに100円を従業員から返してもらうという流れになりますが、もし普通にお金で返してもらうのであれば、仕訳としては簡単で、

(現金) 100 (従業員立替金) 100

という仕訳になります。

この場合は特に問題無いでしょう。

ですがそうではなく、従業員に給料を払うときに、給料から差し引く形でお金を返してもらうというパターンがあります。

その場合は考え方が少しだけ複雑になりますので、これから具体例を交えて詳しく解説します。

じっくり考えればそこまで難しくはありません。

従業員立替金を回収するときの仕訳

では、給料から差し引く場合の例題をやっていきます。

【例題2】
従業員の給料1,000円のうち、立て替えていた100円を差し引いた900円を現金で支払った。

まずは解答を表示します。

まず強く意識してほしいのは、「給料」はあくまでも全額の1,000円だということです。

従業員の給料は1,000円だと書いてありますので、費用として計上する「給料」は、そのまま1,000円としてください。

ですが、実際にお金を渡すのは900円だけです。

従業員に立て替えてある100円を給料からマイナスし、残額の900円だけを渡します。
だから貸方の「現金」は900円。

そして、「従業員立替金」を貸方に100円仕訳し、「従業員立替金」が消滅することになるわけです。

これで「従業員立替金」の残高はゼロになりますからね。

「従業員立替金」の残高がゼロになったことが何を意味するかというと、これで、従業員に対する債権が無くなったということです。

つまり、『あとでお金を返してもらえる権利』は消滅しました。

なぜなら、今返してもらったからです。間接的に

100円を従業員から

【直接貰うという行動】

はしていませんが、

【給料からマイナスする】

という形で返してもらっているのです。

別の言い方をすれば、

従業員に対する【貸し】が100円あったおかげで、給料は1,000円だけど、払うお金は900円で済んだ

という言い方もできます。

注意点としては、「給料」という費用は絶対に減らしてはいけないということです。

「給料」はあくまでも1,000円のままです。

なお、もしもこの仕訳の理解が難しいと感じるのであれば、次の2つの仕訳を相殺したと考えるといいと思います。

ご覧の通り、相殺すると解答と全く同じ仕訳になります。

なので、どうしても難しいと感じる場合は、このように2つの仕訳を書いて、そして相殺できるものを相殺する、というやり方で答えを導き出してもいいと思います。

ただやはり理想としては、給料は1,000円だけど、900円しか渡さないことによって、従業員からお金を返してもらっているという感覚を掴むことです。

こういう類の仕訳の感覚は、できるだけ早めに身に付けてください。

なぜかというと、今回の記事の主役である「従業員立替金」は、「所得税預り金」や「社会保険料預り金」と絡めて出題される可能性があるからです。
(もしそんな問題が出たらかなりの難問です)

そのような難問を正答するためには、今回のような問題は確実に解けることが絶対条件です。

「所得税預り金」や「社会保険料預り金」については、また別の記事で説明します。

最後に仕訳の練習問題

では、最後に練習として例題をもう一問やって終わりにしましょう。

【例題3】
従業員の給料1,500円のうち、立て替えていた200円を差し引いた1,300円を現金で支払った。

まずは解答を表示します。

まず前提として、『立て替えていた200円』とありますので、以前に次のような仕訳を行っていることが考えられます。

ここまで意識できると理解度としては完璧です。

その上で解答を考えていきます。

まず、「給料」はあくまでも全額の1,500円です。
そのことを真っ先に意識してください。

しかし、実際にお金を渡すのは1,300円だけです。
だから貸方の「現金」は1,300円。

で、差額の200円が「従業員立替金」となるわけです。

これで「従業員立替金」は貸方に200円計上され、残高はゼロになっているはずです。

給料で払うお金を200円少なくすることによって、お金を返してもらったのと同じですからね。

なおこの仕訳も、もし難しいということであれば、次の2つの仕訳を相殺したと考えてください。

ご覧の通り、相殺すると解答と全く同じ仕訳になります。

ということで、最後の問題は解けたでしょうか?

まだ曖昧だという場合は、繰り返し読んでしっかりマスターしてください。

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