クレジット売掛金の仕訳についてわかりやすく解説(通常の売掛金との違いを意識しよう)

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クレジット売掛金は、クレジット販売をしたときに出てきます。

この仕訳ができない人は、クレジット販売の仕組みや意味合いを理解していません。

クレジット売掛金を理解するためには、通常の売掛金との違いを意識することが重要です。

結論を先に言ってしまうと、通常の販売は2者の取引ですが、クレジット販売は3者の取引です。

で、通常の売掛金は客に対する債権ですが、クレジット売掛金はクレジット会社に対する債権です。

クレジット売掛金も、売掛金は売掛金なので、通常の売掛金と意味はほとんど同じですが、誰に対するものか?が違うということです。

通常の売掛金の場合の仕訳

まずは通常の売掛金についておさらいします。

下の画像のように、通常の売掛金を使う場合は、登場人物は2者です。

左側にある会社が、あなたの会社です。
つまり、あなたはこの会社の立場で仕訳をします。

そして右にいるワニが客です。

あなたはワニに商品を売ったら、一旦売掛金として計上し、その後ワニから直接お金を回収することになります。

まぁ、仕訳を示すと、

とやったあとに、

という仕訳をして完結する流れですね。

普通の売掛金の場合、客から直接回収するということを強く意識してください。

クレジット売掛金の仕訳

お金の流れ

クレジット販売の場合、下の画像のように登場人物は3人です。

左下の会社があなたです。

あなたはこの会社の立場で仕訳をします。
それを強く意識してください。

そして、右下のワニが客です。

で、上にいる悪い顔したビルが、信販会社(クレジット会社)です。

なお、信販会社とクレジット会社は同じだと思っていいです。
厳密には違うとか言う人もいますが、そういった細かなことは簿記の問題を解くときには関係ないです。

で、ものすごく重要なことなのでもう一度言います。

あなたは誰の立場で仕訳するのか?

そう、左下の会社です。

それをちゃんと意識しておかないと、わけが分からなくなりますからね。

では、この一連の取引の流れを以下に書きます。

  1. あなたがワニに商品を販売する
  2. ワニがクレジット会社にお金を払う
  3. クレジット会社があなたにお金を払う

この一連の流れの中で、あなたに関係するのは13です。

だからあなたは13についての仕訳を行うことになります。

支払手数料

なお、クレジット販売をしたときは、あなたの会社は手数料を取られてしまいます。

ただ、実際には取られるというより、手数料の分だけ最終的に貰うお金がちょっと少なくなるという表現が正しいと思います。

まぁこの下の具体例を見てください。
そのほうが理解しやすいと思います。

また、手数料の金額は問題によって違いますが、商品代金の1%~5%の問題が多いですね。

なお、手数料はあなたが負担するものですので、支払手数料という費用を計上することになります。

クレジット売掛金の仕訳の具体例

販売時に支払手数料を計上する場合

商品販売時の仕訳

じゃあ、具体例を出して実際に仕訳を見ていきましょう。

【問題】
商品100円をクレジット販売した。なお、信販会社への手数料は販売代金の3%であり、販売時に計上する。

では、できそうならこの先を読む前に自分で答えの仕訳を考えてみて下さい。

それではまずは解答を表示します。

解けたでしょうか?

では、ここからは解説です。

この取引を図で表すと以下のようになります。

一連の流れを言いますと、

  1. あなたがワニに商品100円を販売する
  2. ワニがクレジット会社に100円払う
  3. クレジット会社があなたに97円払う

となります。

そして、あなたが関係するのは13ですが、この問題の答えは1の仕訳です。

で、あなたが最終的に貰えるお金が97円の理由は、手数料です。

手数料は販売代金の3%なので、

100円×3%=3円です。

また、この問題は手数料を販売時に計上するという指示があります。

なのでこのタイミングで支払手数料(費用)を計上し、その分、クレジット売掛金が少なくなります。

なので、あなたがあとで貰えるお金は97円ということです。

この97円がクレジット売掛金となるのです。

クレジット売掛金の回収時の仕訳

ではその続きいきます。

クレジット売掛金の回収時の仕訳です。
こっちのほうが簡単です。

【問題】
信販会社より、手数料を差し引かれた残額97円が普通預金口座へ振り込まれた。

では、できそうならこの先を読む前に自分で答えの仕訳を考えてみて下さい。

それでは解答を表示します。

販売時に計上したクレジット売掛金をそのまま回収するだけです。

しつこいようですが、今回の具体例の全体の流れをもう一度言いますと、

  1. あなたがワニに商品100円を販売する
  2. ワニがクレジット会社に100円払う
  3. クレジット会社があなたに97円払う

となりますが、今回の仕訳は3です。

上の画像の中の、97円貰ったときの仕訳を行えばいいわけです。

代金回収時に支払手数料を計上する場合

商品販売時の仕訳

次に、代金回収時に支払手数料を計上する場合の具体例を見ていきましょう。

【問題】
商品100円をクレジット販売した。なお、信販会社への手数料は販売代金の3%であり、回収時に計上する。

では、これも自分で答えを考えたい方は下を読む前にやってみて下さい。

じゃあ解答の仕訳を表示します。

支払手数料は代金回収時に計上するので、このタイミングでは計上しません。

なので、クレジット売掛金は手数料をマイナスする前の100円がまるまる計上されます。

なお当然ですが3者の関係性や一連の流れは変わりません。
3者関係の図を改めて載せておきます。

  1. あなたがワニに商品100円を販売する
  2. ワニがクレジット会社に100円払う
  3. クレジット会社があなたに97円払う

という流れも当然同じで、今回の仕訳は1ですね。

クレジット売掛金の回収時の仕訳

ではその続き。

クレジット売掛金の回収時の仕訳です。

【問題】
信販会社より、手数料を差し引かれた残額97円が普通預金口座へ振り込まれた。

では、できそうならこの先を読む前に自分で答えの仕訳を考えてみて下さい。

解答を表示します。

支払手数料をこのタイミングで計上し、クレジット売掛金は100円無くなっているにもかかわらず、普通預金に計上するのは97円となります。

これまたしつこいようですが、今回の具体例の全体の流れをもう一度言いますと、

  1. あなたがワニに商品100円を販売する
  2. ワニがクレジット会社に100円払う
  3. クレジット会社があなたに97円払う

となり、今回の仕訳は3です。

支払手数料の計上が販売時・回収時のどちらであっても

ここまで見てきたように、支払手数料は、販売時に計上するパターンと、回収時に計上するパターンの2つがありますが、どちらであっても、「売上」の金額は変わりません

「売上」の金額は支払手数料を引かずに計上します。

2つのパターンがあって大変だと思う場合は、まずはそれを意識してください。

クレジット販売を活用することのメリット

クレジット販売の場合、登場人物は3者ですが、一応3者それぞれにメリットがあります。

あなたの会社のメリット

これはなんと言っても、幅広い客に対応できることです。

クレジット払いで買いたい客も一定数存在するわけですから、現金払いしか受け付けない状態では、そういった客を逃してしまいますからね。

よって、たとえ手数料の分損するとしても、それは必要な費用と割り切ってクレジット販売を取り入れたほうが売上が伸びるという判断です。

まぁもちろんそこは経営的な判断ですから、手数料の損のほうが大きいと考える会社もあるでしょう。

そういった店はクレジット販売を受け付けていなかったりします。

客のメリット

まぁこれは便利であるということですね。

カード払いに対応した店のほうが、客の立場としても買い物しやすいですからね。

信販会社(クレジット会社)のメリット

メリットはもちろん、手数料による収入です。

さっきの具体例では3円儲かってます。

ワニから100円回収しますが、あなたに97円しか払わないわけですからね。

クレジット売掛金の注意点まとめ

改めて注意点をまとめます。

  • 自分がどの立場なのかを強く意識する
  • 全体の流れを理解する
  • どの段階の仕訳なのかを意識する

これらが曖昧な状態だと、何をしていいのか本当に分からなくなります。

なので上記3つは必ず心掛けてください。

僕のYoutubeチャンネルにクレジット売掛金について説明している動画がありますので、動画のほうが理解しやすい方は見てみてください。

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