【伝票問題①】解き方のコツをわかりやすく解説(簿記3級)

期中処理

今回は伝票の基礎について解説します。

まずは基礎を確実に押さえないと、伝票の応用問題を勉強したときにワケが分からなくなりますので、この記事をじっくりと読んでください。

しっかり理解すれば、むしろ伝票問題は本試験での得点源になり得ます。

なぜなら、伝票の問題はコツが分かれば非常に簡単だからです。

しかも、その【コツ】も一瞬で理解できる程度のものです。

この記事では、伝票の書き方や解き方なども含め、伝票の基本を丁寧に分かりやすく解説しますので、読み終える頃には、

「なんだ、全然難しくないじゃん!」

という気持ちになっていることでしょう。

伝票とは?なぜ伝票があるのか?

伝票とは、簡単に言うと取引の内容を書くための紙です。

伝票を使用する理由を簡単に言うと、行われた取引のメモをすることです。

会社は、

  • 物を買う
  • 物を売る
  • お金を払う
  • お金を貰う

などの様々な取引を行い、その内容を仕訳していきます。

ですが、取引があったときにいきなり仕訳をするのではなく、その取引内容を一旦メモとして記録する場合があります。

そのメモの紙が伝票です。

そして、伝票を見て経理担当者が仕訳をしていくことになります。

ちなみに、伝票に書くことを起票といいます。

伝票を使う場合の流れをまとめますと、

  1. 取引が行われる
  2. 取引内容を伝票に書く(起票する)
  3. 伝票を見て仕訳を行う

となります。

ただし、伝票は必ずしも使われるわけではなく、伝票を使わずに直接仕訳を行う場合もあります。

というか、簿記の学習の大半は、伝票を使わない前提で行われています

つまり、伝票の章で学ぶことは、伝票を使用する場合の簿記のやり方です。

よって、何か新しい勘定科目が出てくるなどではありません。

あくまでも、これまで学習した内容について、

仮に伝票を使用するならどうなるのか?

を伝票の章では勉強するということです。

【伝票の種類】入金伝票、出金伝票、振替伝票

繰り返しになりますが、伝票とは簡単に言うと、取引の内容を書いた紙です。

よって、伝票を見れば仕訳が書けるということになりますし、逆に、仕訳から伝票の内容を導き出すこともできます

で、まず最初に知ってほしいのが、伝票は3種類あるということです。

3種類とは、

  • 入金伝票
  • 出金伝票
  • 振替伝票

です。

では、それぞれどんな伝票なのかを説明していきます。

入金伝票とは

入金伝票とは、現金が増加する取引を書く伝票です。

ここで言う現金とは、まさに勘定科目の「現金」のことです。

「現金」が増加する取引に関しては、全て入金伝票に起票します。

逆に言えば、入金伝票に起票したという時点で、その取引は現金が増加した取引だということが分かるわけです。

なお、あくまでも「現金」のみが対象なので、「普通預金」や「当座預金」は含みません。

出金伝票とは

出金伝票とは、現金が減少する取引を書く伝票です。

※以下、入金伝票で説明したことと重複する文章がありますが、復習として読んでください。

ここで言う現金とは、まさに勘定科目の「現金」のことです。

「現金」が減少する取引に関しては、全て出金伝票に起票します。

逆に言えば、出金伝票に起票したという時点で、その取引は現金が減少した取引だということが分かるわけです。

なお、あくまでも「現金」のみが対象なので、「普通預金」や「当座預金」は含みません。

振替伝票とは

振替伝票とは、現金が増加も減少もしない取引を書く伝票です。

つまり、「現金」が登場しない取引について起票する伝票ということです。

入金伝票にも出金伝票にも起票しない取引は、全て振替伝票に起票することになります。

伝票の仕訳問題

では、伝票の仕訳問題を見ていきます。

伝票の実物(あくまでも問題で出される形)についても合わせて解説します。

で、今回の内容であなたにできるようになってほしいことは次の2つです。

  1. 伝票を見て仕訳をする
    伝票 ⇒ 仕訳
  2. 仕訳を見て伝票を書く(穴埋め)
    仕訳 ⇒ 伝票

1番、2番と書きましたが、特に順番はありません。

両方できるようになる必要があります。

では、

  1. 伝票を見て仕訳をする
    伝票 ⇒ 仕訳
  2. 仕訳を見て伝票を書く(穴埋め)
    仕訳 ⇒ 伝票

の順番で問題をやっていきます。

伝票を見て仕訳をする問題

では、伝票を見て仕訳を行う問題をやっていきます。

  • 入金伝票
  • 出金伝票
  • 振替伝票

の順に、全て見ていきます。

入金伝票

【問題1】
次の伝票に記載された取引の仕訳を行いなさい。

まずは解答を表示します。

では解説します。

今回の伝票の記載内容を見ていくと、

  • 入金伝票
  • No.101
  • 売掛金
  • 350

と書いてあります。

それぞれの意味は次の通りです。

入金伝票

これは題名、つまり伝票の種類です。

今回は「入金伝票」と書いてありますので、現金が増えた取引ということが分かります。

よって、「入金伝票」と書いてあるのを見た瞬間に、この取引の仕訳は借方が「現金」と判断できます。

伝票の種類を見たら、ここまで読み取ってください。

No.101

これは伝票の通し番号みたいなものです。
問題を解く上で何の影響も無いので無視してOKです。

売掛金

仕訳をするべき勘定科目がここに載ります。

今回は入金伝票なので、貸方科目を表します。

なぜ貸方科目なのかというと、今回は入金伝票なので、借方は「現金」で確定だからです。

よって、貸方が「売掛金ということになります。

350

これは金額を表します。

ということで、今回の伝票の仕訳は、

(現金) 350  (売掛金) 350

となります。

なお、1枚の伝票には1行の仕訳の内容しか書けません。

これは入金伝票に限らず、出金伝票でも振替伝票でも同じです。

『借方が1行、貸方も1行』という仕訳の内容しか書くことができません

でも、簿記の取引では、一つの取引で複数行の仕訳もザラにありますよね。

そういう場合はどうするのかというと、伝票も複数枚使います

その詳しいやり方についてはこちらの記事でお話ししています。

出金伝票

【問題2】
次の伝票に記載された取引の仕訳を行いなさい。

まずは解答を表示します。

では解説します。

今回の伝票の記載内容を見ていくと、

  • 出金伝票
  • No.201
  • 買掛金
  • 180

と書いてあります。

念のためそれぞれの意味を説明します。

ただ、先ほど見た入金伝票とほとんど同じです。

出金伝票

これは題名、つまり伝票の種類です。

今回は「出金伝票」と書いてありますので、現金が減った取引ということが分かります。

よって、「出金伝票」と書いてあるのを見た瞬間に、この取引の仕訳は貸方が「現金」と判断できます。

伝票の種類を見たら、ここまで読み取ってください。

No.201

これは伝票の通し番号みたいなものです。
問題を解く上で何の影響も無いので無視してOKです。

買掛金

仕訳をするべき勘定科目がここに載ります。

今回は出金伝票なので、借方科目を表します。

なぜ借方科目なのかというと、今回は出金伝票なので、貸方は「現金」で確定だからです。

よって、借方が「買掛金ということになります。

180

これは金額を表します。

ということで、今回の伝票の仕訳は、

(買掛金) 180  (現金) 180

となります。

振替伝票

【問題3】
次の伝票に記載された取引の仕訳を行いなさい。

まずは解答を表示します。

では解説します。

今回の伝票の記載内容のそれぞれの意味は次の図のようになります。

振替伝票

これは題名、つまり伝票の種類です。

今回は「振替伝票」と書いてありますので、現金が増えも減りもしない取引ということです。

No.301

これは伝票の通し番号みたいなものです。
問題を解く上で何の影響も無いので無視してOKです。

仕入 200
 買掛金 200

これはそのまんま、

(仕入) 200 (買掛金) 200

という仕訳が書いてあるだけです。

振替伝票というのは、そのまま仕訳を書く伝票なのです。

だから、3つの伝票の中で振替伝票が一番簡単です。

なので、今回の取引の仕訳はそのまま、

(仕入) 200 (買掛金) 200

となります。

仕訳を見て伝票を書く問題(穴埋め)

では最後に、仕訳を見て伝票を書く穴埋め問題をやっていきます。

【問題4】
次の取引について、伝票に必要な内容を記入しなさい。

商品300円を売り上げ、代金は現金で受け取った。

まずは解答を表示します。

この手の問題を解くときは、必ず仕訳を書いてください。

面倒だとは思いますが、仕訳を書くことでミスをする確率が激減します

仕訳は次の通りです。

仕訳を見ると、現金が増加した取引であることは一目瞭然です。

よって、この伝票は入金伝票と分かります。

そして、科目欄には相手の勘定科目を書くわけですから、仕訳の反対側である「売上」を書けばいいわけです。

で、最後に金額を記入すれば終了です。

しつこいようですが、こういった問題を解く時は必ず仕訳をメモ書きしてください。

まぁ、絶対的な自信がある場合には、仕訳をせずダイレクトに伝票に書き込んでも良いと思いますけどね。

【問題5】
次の取引について、伝票に必要な内容を記入しなさい。

商品240円を仕入れ、代金は現金で支払った。

まずは解答を表示します。

この問題も同じように、まずは仕訳を書きます。

次の通りです。

仕訳を見ると、現金が減少した取引であることは一目瞭然です。

よって、この伝票は出金伝票と分かります。

そして、科目欄には相手の勘定科目を書くわけですから、仕訳の反対側である「仕入」を書けばいいわけです。

で、最後に金額を記入すれば終了です。

【問題6】
次の取引について、伝票に必要な内容を記入しなさい。

商品400円を売り上げ、代金は掛けとした。

まずは解答を表示します。

この問題も、慎重にやるなら一旦仕訳を書いてもいいでしょう。

仕訳は次の通りです。

仕訳を見ると、現金が登場していない取引であることが分かります。

よって、この伝票は振替伝票と分かります。

振替伝票は仕訳をそのまま書くだけの伝票なので、仕訳をそのまま伝票に書き写せば終了です。

まぁ、今回の問題は振替伝票の問題なので、仕訳のメモ書きは必要無いかもしれません。

入金伝票出金伝票と違い、振替伝票は仕訳をそのまま書く伝票なので、記入ミスが起こる可能性は低いからです。

メモ書きの仕訳を書いたとしても、結局は同じ内容を振替伝票に書くことになるわけですしね。

それに、振替伝票は見た目からして入金伝票出金伝票とは明らかに違いますので、
この問題は、解答欄を見た瞬間に伝票の種類が振替伝票だと分かります

だから、取引の文章を読んだらそのまま伝票(解答欄)に仕訳を書き込んでいっても全く支障は無いでしょう。

時間短縮になるので、むしろそのほうがメリットが大きいと思います。


ということで、最後に問題を6問行いましたが、いかがだったでしょうか。

次の3つを押さえることが、伝票を攻略する最大のコツです。

  • 入金伝票が起票されている時点で、借方「現金」が確定
  • 出金伝票が起票されている時点で、貸方「現金」が確定
  • 振替伝票は仕訳がそのまま書いてある伝票

最初にもお伝えした通り、伝票の問題は、しっかり理解すれば本試験での得点源になりますので、確実に理解しておきましょう。

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