今回は、消費税の還付について具体的な仕訳を交えながら分かりやすく説明します。
消費税の還付の仕訳がスムーズにできない人は実は多いです。
通常の消費税の仕訳はしっかり勉強していたとしても、還付の論点が意外にもノーマークだったりします。
ですが、消費税の還付は知っている人にとっては非常に簡単に解ける問題ですので、覚えておかないのはもったいないです。
この記事で確実にマスターしてしまいましょう。
なお、そもそも消費税の通常の仕訳が分からない方や、消費税の仕組みを知らない方は、次の記事を先に読んでおくことをオススメします。
【消費税の仕訳を分かりやすく解説】なぜ差額を支払うのか?(簿記3級)
消費税の還付とは
還付というのは、お金が返ってくることをいいます。
なので、消費税の還付とは、消費税が返ってくることを意味します。
よって、還付というのは納付の逆と考えればいいでしょう。
消費税は、通常は決算整理で【消費税の未払い】が計上され、その金額を翌期に納付することになります。
【消費税の未払い】は「未払消費税」という負債の勘定科目で仕訳をします。
- 決算整理で「未払消費税」を計上
- 翌期にそれを納付する
これが通常の消費税の仕訳です。
一方で、消費税が還付される場合というのは、決算整理で【消費税の未収】を計上し、その金額が翌期に還付される(返ってくる)ことになります。
【消費税の未収】は「未収還付消費税」という資産の勘定科目で仕訳をします。
- 決算整理で「未収還付消費税」を計上
- 翌期にそれが還付される
これが還付の場合の消費税の仕訳です。
ちなみに、還付される金額のことを還付金と呼んだりもします。
【なぜ還付される?】消費税が還付される場合の流れ
今説明したように、消費税が還付される場合は、決算整理で【消費税の未収】を計上します。
では、なぜ還付という結果になるのか?
なぜ【消費税の未収】を計上することになるのか?
これは、
期中に支払った消費税
が、
期中に受け取った消費税
よりも多い場合に起こります。
重要なことなのでもう一度言います。
期中に支払った消費税
が、
期中に受け取った消費税
よりも多いときに消費税の還付は起こるのです。
決算整理での消費税の仕訳をおさらいします。
決算整理では、
「仮払消費税」と「仮受消費税」をともに消滅させる仕訳を行います。
つまり、
- 「仮払消費税」は貸方
- 「仮受消費税」は借方
に仕訳をします。
そして、通常は「仮払消費税」よりも「仮受消費税」のほうが金額が大きいので、その差額を「未払消費税」に計上することになります。
これが通常の消費税の決算整理仕訳です。
ですが稀に、「仮払消費税」のほうが「仮受消費税」よりも大きい場合があります。
要するに、
期中に払った消費税
のほうが、
期中に受け取った消費税
よりも多いということです。
こういった状況のときに消費税の還付が起こります。
その場合の決算整理仕訳はこうです。
このように、「仮払消費税」と「仮受消費税」の差額が借方に生じるので、その差額を「未収還付消費税(資産)」として計上します。
消費税の還付の場合の仕訳
では、還付の場合の具体的な仕訳を見ていきましょう。
イメージしやすいように、
- 期中の仕訳
- 決算整理仕訳
- 次期の仕訳(還付金受け取り)
を全てやっていきます。
消費税率は10%です。
消費税の期中仕訳
【問題1】
商品300円(税抜価額)を仕入れ、代金は掛けとした。
解答を表示します。
※仮払消費税
300円×10%=30円
この仕訳に関しては特に難しいところは無いでしょう。
ただ、稀に質問を受けることが多いポイントとしては、
「代金は掛けなのに、仮払消費税を計上していいのか?」
という点です。
つまり、代金はまだ払っていないのに「仮払消費税」で仕訳をするのは不自然ではないか?という質問です。
「仮払消費税」の『仮払』という言葉からして、まだ払っていないのに計上するのは変だという感覚なのでしょう。
気持ちは分かりますが、そこは気にしなくていいです。
「仮払消費税」はあくまでも仕入れたタイミングで計上しますので、その代金が現金払いだろうと掛けだろうと関係ありません。
この話は今回の記事の主旨とは関係ありませんが、念のため説明しておきました。
【問題2】
商品500円(税抜価額)を売り上げ、代金は掛けとした。
解答を表示します。
※仮受消費税
500円×10%=50円
これも特に難しいところはありません。
ただ、この仕訳に関しても、
「代金は掛けなのに仮受消費税を計上するのはおかしい」
と感じる人がいますが、そこを考える必要は無いです。
「仮受消費税」は売り上げの時に計上するので、現金受け取りだろうと掛けだろうと変わりません。
【問題3】
商品400円(税抜価額)を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。
解答を表示します。
※仮払消費税
400円×10%=40円
これで期中仕訳は以上です。
消費税の決算整理仕訳
では、いよいよ決算整理仕訳です。
ここが今回の主題ですからね。
【問題4】
決算を迎えたため、消費税の決算整理仕訳を行う。仮払消費税は70円、仮受消費税は50円である。
まずは解答を表示します。
では解説をします。
先程行った【問題1】から【問題3】によって、
- 仮払消費税が70円
- 仮受消費税が50円
となっていました。
決算整理前のT勘定は次の通りです。
「仮払消費税」の方が多いです。
これは当たり前ですが、
当期中に支払った消費税
が、
当期中に受け取った消費税
よりも多かったことが原因です。
で、この状態で決算整理仕訳をします。
「仮払消費税」「仮受消費税」ともに残高をゼロにするわけです。
- 「仮払消費税」は貸方
- 「仮受消費税」は借方
に仕訳をします。
そうすると、差額が借方に発生します。
この差額を「未収還付消費税」に計上すれば仕訳は完了です。
「未収還付消費税」は、次期に受け取れる消費税の還付金を意味しますからね。
消費税の還付金の受け取りの仕訳(次期)
最後に消費税の還付金の受け取りです。
これは簡単です。
【問題5】
未収還付消費税20円を現金で受け取った。
解答は次の通りです。
ということで、消費税の還付の仕訳を見てきましたが、いかがでしたか?
処理としては非常に単純で、知ってさえいれば大した労力をかけずに解ける内容です。
本試験に出たら確実に取れるようにしておきましょう。
では、今回の内容は以上となります。
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