仕訳をするときは、一つ一つの意味合いを噛みしめながらやってください。特に、初心者のうちは。
仕訳は簿記の基本です。
というよりも、簿記は仕訳に始まって仕訳に終わると言ってもいいぐらいです。
誤解を恐れずに言ってしまえば、簿記は仕訳が全てであり、仕訳さえ正しくできれば、その他のことは大抵なんとかなります。
T勘定や、あるいは現金出納帳などの補助簿なんかも、結局は仕訳との連動に過ぎないからです。
『仕訳を制する者が簿記を制する』
これは色んなところで耳にするフレーズですが、事実だと言わざるを得ません。
仕訳を間違える理由
しかし、それほどまでに重要な仕訳ですが、何度も練習しているにもかかわらず毎回同じようなミスを繰り返す人がいます。
ちなみに、ここで言っているミスというのはケアレスミスではなく、理解不足や知識不足からくるミスです。
つまり、根本的に理解できていないと思わざるを得ないような間違いのことです。
そういうミスを何度もしてしまう人がいます。
なぜか?
それは、問題演習において、一つ一つの意味を頭の中でハッキリさせずに、ただなんとなく仕訳しているからです。
そのような取り組み方だと、せっかく勉強していても、一つ一つの理屈が頭の中で明確になるという感覚になりません。
たとえ正解できたとしても、『よく分からないけど合ってたからいいか』という感じだったりします。
そうすると、次に同じ問題をやったときに解けなかったりするのです。
で、『前は解けたのになぜ今回は間違えたのか』と悩み、再び問題演習を繰り返しますが、正解できるときもあれば間違えるときもあるというような感じで、正解不正解が運次第になります。
このようなことをいつまでも繰り返し、なかなかレベルアップしない結果となるのです。
そうならないためには、仕訳をするときに一つ一つの思考について段階を踏みながら確実に進めていくことが重要です。
その具体的なやり方をこの記事で解説していきます。
何度も練習しているのにいつまで経っても上達しないのは非常にもったいないです。
ですから、仕訳をするときは、ただなんとなくでやるのはやめて、一つ一つの意味合いを明確にしながら進めて下さい。
簿記に対する理解度は劇的に変わります。
仕訳を間違えないためにやるべきステップ
【ステップ1】増えたもの(勘定科目)は何か、減ったもの(勘定科目)は何かを明確にする
日商簿記3級を勉強し始めて最初の方に出てくる仕訳というのは、物を売ったり買ったりとか、お金を貰ったり払ったりみたいな、比較的イメージしやすい取引がほとんどなわけです。
なので、まずは何が増えて何が減ったのかを頭の中でハッキリ認識してください。
増えた減ったという組み合わせは色々なパターンがあるので、
『これが増えて、これが減った』
という場合もあれば、
『これが増えて、これも増えた』
という場合もあるし、
『これが減って、これも減った』
という組み合わせでの仕訳もあり得ます。
例えば、
現金100円を普通預金口座に預けた。
という問題であれば、
『現金が減って、普通預金が増えた』
ということをまずはハッキリと頭の中で認識してください。
【ステップ2】増えたもの(勘定科目)や減ったもの(勘定科目)を5要素に当てはめる
次に、増えたもの(勘定科目)や減ったもの(勘定科目)が、5要素のどれになるのかを明確にしてください。
さっき例に挙げた
現金100円を普通預金口座に預けた。
という問題であれば、
先ほど言ったように、まずは『現金が減って、普通預金が増えた』ことを認識します。
そしたら今度は、「現金」「普通預金」が5要素のどれになるかを考えます。
そして、「現金」と「普通預金」はどちらも資産なわけですから、そのことをしっかりと認識してください。
【ステップ3】借方(左)と貸方(右)のどっちに書くべきかを考える
最後に、借方と貸方のどっちに書くのかを考えてください。
現金100円を普通預金口座に預けた。
という取引について、ステップ2まででハッキリしたことは、
- 現金という資産が減った
- 普通預金という資産が増えた
の2つです。
1という情報から、貸方に「現金」を書くことが分かります。
資産が減ったときは貸方に書くのが簿記のルールですから。
次に2という情報から、借方に「普通預金」を書けばいいということが分かります。
資産が増えたときは借方に書くのが簿記のルールです。
ということで、答えは
普通預金 100 現金 100
となるわけです。
仕訳をするときのステップをもう一度言いますと、
- ステップ1:増えたもの(勘定科目)は何か、減ったもの(勘定科目)は何かを明確にする
- ステップ2:増えたもの(勘定科目)や減ったもの(勘定科目)を5要素に当てはめる
- ステップ3:借方(左)と貸方(右)のどっちに書くべきかを考える
となります。
例題の仕訳問題
ではさらに例を挙げていきます。
資産が増えて、負債も増える仕訳
現金50円を借りた。
まずは答えを表示しますので、自分で考えたい方はこの先を読む前に考えてみて下さい。
では答えを表示します。
現金 50 借入金 50
では解説します。
ステップ1:増えたもの(勘定科目)は何か、減ったもの(勘定科目)は何かを明確にする
お金を借りて手元に「現金」が増えました。
また、借金が増えましたので、「借入金」が増えました。ちなみに「借入金」は負債ですからね。
- 「現金」が増えた
- 「借入金」が増えた
ステップ2:増えたもの(勘定科目)や減ったもの(勘定科目)を5要素に当てはめる
「現金」は資産で、「借入金」は負債です。
ステップ3:借方(左)と貸方(右)のどっちに書くべきかを考える
現金という資産が増えて、借入金という負債も増えました。
- 現金(資産)が増えた
- 借入金(負債)が増えた
ということで、「現金」が増えたからまずは借方に現金を50円です。
資産が増えた時は借方に記載です。
で次に、「借入金」も増えたので、貸方に借入金を50円です。
負債が増えた時は貸方に記載です。
ってことで、さっき書いたように答えは
現金 50 借入金 50
となります。
このように一つ一つステップを踏んで確実に思考を前に進めていくイメージで仕訳をしてください。
最初はゆっくりで構いません。
スピードはあとからいくらでもついてきます。
これを続けていくことであなたの仕訳力は飛躍的に伸びていきます。
まとめると、
- ステップ1:増えたもの(勘定科目)は何か、減ったもの(勘定科目)は何かを明確にする
- ステップ2:増えたもの(勘定科目)や減ったもの(勘定科目)を5要素に当てはめる
- ステップ3:借方(左)と貸方(右)のどっちに書くべきかを
の3ステップとなります。
今回の内容は僕のYoutubeチャンネルでもお話ししていますので、動画の方が頭に入るという方はぜひご覧ください。
なお、日商簿記3級を勉強中の方向けに完全無料でメルマガを配信しています。
今すぐご登録の場合、巷のテキストや参考書とは一線を画した超有益な教材を無料でプレゼントしております。
コメント